地方競馬の調教師になるには?

調教の豆知識

皆さんは地方競馬の調教師になる方法を知っていますか?

競走馬と信頼関係を築き、最も密接に関わるのが地方競馬の調教師です。調教の手伝い、出走計画など、調教師は競走馬の成長において絶対に欠かすことができない職業です。

この記事では調教師の仕事内容や、地方競馬の調教師になるための方法をご紹介していきます。地方競馬の調教師になりたいと思っている方は是非参考にしてみて下さいね。

調教師とは

調教師になるには、国家資格でもある調教師免許を取得する必要があります。中央競馬と地方競馬では免許の取り方と内容も異なるため、自分に合う免許の取得が必要となります。

厩務員や騎手含めて厩舎で働く誰よりも競走馬の知識や実力、経験が求められる職業です。

ではさっそく、地方競馬の調教師の仕事内容や求められるスキル、お給料など詳しくご説明していきます。

仕事内容

馬のお世話する人?トレーナー?と想像している方も多くいると思いますが、まずは具体的な調教師の仕事内容について説明していきます。

  • 競走馬にあったトレーニングや健康管理
  • 競走馬オーナーである馬主と交渉
  • 出走計画を立てる
  • 騎手や厩務員を雇い、育成や打ち合わせ
  • 所属している厩舎を運営する

調教師は強い競走馬を育てる役割だけでなく、実績を積み馬主の信頼を経て、血統のいい競走馬を預けてもらうことも大切です。

馬に対しての知識や技術だけでなく、経営力を身につけることも重要になります。

給料

希少な仕事でもある調教師のお給料を知らない方も多いと思うのでご紹介します。地方競馬の調教師の場合、開業したては平均で年収約600万円ほどです。

  • レースで入賞した時の賞金の10%
  • 馬主から支払われる預託金

調教師の収入はレースで入賞した時に貰える賞金の10%と、馬を管理するときに馬主から支払われる預託金があります。

開業したては、レースに勝つまでは馬主から預かれる馬は少ないので収入も低いですが、実力がつき馬主の信頼を経て預かれる馬の数が増えていくと預託金が増え、賞金も多くなるため徐々に収入も高くなっていきます。

このように調教師のお給料は実力によって変わってきます。

また中央競馬の調教師の場合は、同等レベルのレースでも賞金が倍になるので、自然に年収も倍になります。

調教師に適正な人柄

調教師は人生のほとんどの時間を競走馬と過ごします。まず、馬主から馬を預かり幼い頃から騎手を乗せてレースを走れる訓練を行います。

その馬の特性や個性にあった方法を選び、レースで最大限に力を発揮できるようにトレーニングしていきます。

そして馬が怪我や病気をしないように、細心の注意と毎日の観察、馬とコミュニーションを取ることも大切な仕事です。

このように調教師は競走馬と過ごす時間がすごく長いです。

少し大袈裟に聞こえるかもしれませんが、調教師になる適正な人柄は競走馬や競馬に人生を捧げる覚悟を持っている人であると言えるかと思います。

地方競馬の調教師になる方法

知識量や経験年数などで個人差はありますが、調教師になるにはどのような道のりを経て資格をとるのでしょうか?

地方競馬の調教師になるには、基本的には下記の3つの方法があります。

養成学校へ通う

調教師になりたい人や、競馬関係の仕事につきたい人はまず専門的なことが学べる養成学校に通う必要があります。

養成学校で専門的な知識、技術、経験を習得し、基礎を学び調教師を目指していきます。

主に養成学校はJRA(日本中央競馬)競馬学校と地方競馬教養センターの2校があります。学校によって体重制限や健康状態、乗馬経験など募集要項や学べることが違うので注意が必要です。

地方競馬の調教師になるにはどちらの学校からでも資格を取ることが可能ですが、この2校ではそれぞれで学べる内容が異なります。

JRA競馬学校

実技⇒乗馬の基礎、競馬姿勢
学科⇒競馬に関する法律、馬学、競馬の仕組み、競争理論

厩舎スタッフとして住み込みで体験や、競馬場での模擬レースもあります。また、JRA競馬学校は中学卒業と同時に入学する生徒が多いので、一般科目も勉強します。

地方競馬教養センター

実技⇒乗馬、厩舎での作業、馬術、剣道
学科⇒乗馬に関わる法律、衛生、馬学、一般教養

また、集団で騎乗や模擬レースや、実際に競馬場でスタッフとして入り実習を行います。

厩舎で経験を積む

基本的には、調教師になる前に厩舎で厩務員や調教師助手として経験を積むことが多いです。

厩務員は養成学校に行かなくても、資格がなくても厩務員の業務は行えます。ですので、未経験でも応募が可能です。

厩舎での仕事は住み込みが一般的です。

主な仕事内容は、馬房の清掃、馬の餌やり、馬体の手入れ、馬の健康管理、調教準備、ウォーミングアップ、調教後のクールダウンやアフターケアなどです。

厩務員の仕事は馬のお世話だけでなく、レースに勝てるように馬のコンィデションを管理することも大切な仕事です。

厩務員、調教師補助として調教師のそばで仕事を深く学び、調教師を目指します。

騎手から調教師に転向

騎手から調教師免許を取得して調教師に転向するを目指すパターンもあります。

調教師免許と騎手免許は同時に取得はできません。なので、調教師免許を取得した場合は騎手免許は返上し騎手は引退するのが通例です。

  • 酒井英光元騎手⇒地方競馬通算2000勝超の実績を持つ元騎手。約25年にわたる騎手人生を引退され、調教師へと転向。
  • 河内洋元騎手⇒1974年〜2001年までJRAのトップ騎手として引退時点では当時歴代2位のG1勝利数を持ち歴史に名を残した騎手。騎手を引退し調教師へと転向。

上記の2人の騎手は実際に騎手を引退してから調教師へと転向しています。

地方競馬の調教師免許取得までの流れ

先ほど説明したとおり、中央競馬には日本中央競馬競馬会が実施する調教師免許があり、地方競馬とは免許が異なります。

地方競馬の厩舎を経営するためには、地方競馬全国協定が施行する地方競馬調教師免許が必要です。ここからは、取得方法から交付後の流れをご紹介します。

免許の取り方

免許を取るには地方競馬全国協定で施行している試験に合格する必要があります。

試験は28歳以上で競馬場で就業の予定がある方のみ受けることができ、年に3回願書受付がありますが、受験できるのは年に1度だけです。

試験開催地によって試験日が異なるため、事前に調べておく必要があります。試験は一次試験を合格した人のみ二次試験があり、主に下記の項目を審査されます。

一次試験

  • 筆記試験(学力および技術)
  • 競馬、労働に関係する法規
  • 一般常識
  • 馬の育成および調教に必要な技術
  • 馬学や衛生、運動生理学
  • 騎手および厩務員の指導に必要な知識
  • 飼料学 など

二次試験

  • 身体検査
  • 実技試験
  • 面接試験
  • 口頭試験

免許交付後の流れ

調教師免許取得後はどのように調教師として働くのでしょうか。

調教師は、取得した免許と主催者から貸与される馬房を開業する必要があります。この馬房は馬を飼育する施設で、馬房を開業するまでには下記の2パターンがあります。

  • 開業している調教師の下で研修を積む
  • 免許取得後すぐに開業する

基本的にはいくらかの期間、開業している調教師の下で研修を受けます。

業態悪化に伴い定年を待たずに調教師を勇退し空き馬房が発生することが多々あるので、近年では免許を取得した日からすぐ開業するケースも見られるようになりました。

日本の競馬では馬房の数が決まっているため、調教師の人数も限られています。このため、引退する調教師の人数だけ調教師になることができます。

そのため、調教師免許に合格者数も制限されています。

まとめ

地方競馬の調教師になるにはどのようなことが必要なのかご理解していただけでしょうか?

調教師になるために、学校、厩舎、騎手で知識や技術の習得、また経験を経て調教師免許の取得を目指します。

また資格を取るまでには経験や年数、熱量でも個人差はあります。自分が向いている方法で調教師を目指すことができます。是非参考にしてみてください。