競馬では調教を朝早く行うということをご存知でしょうか。
まだ日が出て間もない時間から競走馬に跨り、激しいトレーニングを行っており、例外はありますが午後に調教を行うことは少ないのです。
厩務員の方は、調教に向けて競走馬のチェックや準備などがあるため、3時には起きて仕事を開始しています。
一体何故、調教は朝早く行われるのでしょうか?そこには、馬の習性や管理する側の理由などがあるので、調教を朝早く行う理由について詳しくご紹介していきたいと思います。
どうして朝に調教を行うのか、その理由を知りたいという方は是非参考にしてみて下さいね。
目次
競馬の調教が朝早く行われる理由とは?
競走馬が朝早くから調教を行うというのは有名な話ですし、ご存知の方も多いのではないでしょうか?
しかし、なぜ朝早いのか、その理由については知らない方も多いと思います。
調教が朝早い時間から行われるのには、様々な理由があるといわれているので、詳しく解説していきたいと思います。
馬が暑さに弱いから
一般的に、調教が朝を行われる大きな理由としては、馬が暑さに弱いからというのがあります。
馬はとても暑さに敏感で、調教などの激しい運動をすると一気に体温が上がってしまい、体力を消耗してしまいます。そのため、気温が上がる前の早朝に行われているのです。
レース前に軽く走っただけでも、体中から発汗している姿はよく目にすると思います。この発汗は珍しいことではなく、馬の特性でもあるのでそこまで心配する必要はありませんが、あまりにも発汗が多い時には興奮状態にあったり、体力を減らしている可能性があるので不安材料の一つともなりますね。
時間帯は地域や時期によって異なりますが、快適な温度で調教に集中できる時間に行っているのが大きな理由の一つになります。
馬は習慣性強いから
馬は、生活のリズムが一定である事を望む生き物だと言われており、朝に調教したり、急に午後に調教したり、夜に走ったりとバラバラにすることを嫌います。
そのため、常に同じ時間帯で調教を行うため暑い夏を想定して朝に行うというのも理由になります。
競走馬の数が多いから
トレセンでは、非常に多くの数の競走馬がおり、早い時間からどんどん調教を行わないと混み合ってしまい、最後の競走馬が暑い時間帯になってしまうというのもあります。
一度に何頭もの調教を行うことができず、順番で調教を行っていくので朝からやらないと間に合わないのです。
そのため、早朝のイメージが強いですが、最後の方の競走馬はもう朝じゃないケースもあります。
担当する騎手も、レースが開催される日に1頭しか乗らない訳ではなく、何頭も騎乗予定があるため1日で数頭の調教を行うこともあります。
1頭で約30分から1時間程度の調教を行うため、5頭目になる時には10時を過ぎていることはざらにあるのです。
昔の習慣の名残り
今では、トレセンや外厩という施設が充実しているため、レース場は別の場所で調教を行うことが可能ですが、昔は調教もレース場で行うこともありました。
そのため、レースが開催される前の朝じゃないとコースが使えないので、朝早くから調教を行っていたのです。その名残りが今でも続いているという説もあります。
また、できるだけきれいな状態のコースで調教したいので、どんどん朝が早くなっていったという説もありますね。
今でも、地方競馬などで調教場所がない時には、朝早くにレース会場で調教を行うことも。
あえて午後に行うこともある
朝のイメージが強い調教ですが、午後に行っていないわけではありません。むしろ、暑い時に調教を行い身体を絞る目的で行うこともあるほどです。
特に冬場では、朝だと凍結していることもあるので、時間帯をずらして行う時もあります。
中でも北海道などの寒い地域では、午後でも関係なく調教を行っています。イメージは強いですが、朝だけという認識は大きな間違いです。状況に応じて臨機応変に調教を行っているのです。
逆算すると朝から動かないと間に合わない
調教を行った後も仕事はたくさんあります。馬房の掃除、競走馬のクールダウン、体温のチェック、ケガのチェック、飼葉を与える等、厩務員の方が行っている仕事は非常に多い為、朝からじゃないと間に合わないということもあります。
調教師の1日
朝早くから調教を行う理由についてお分かりいただけでしょうか?様々な理由がありますが、競走馬を調教するには早朝から行うのがベストなのです。
そこで気になるのは、調教が終わった後に調教師は一体何をしているのかではないでしょうか?
競走馬の管理や世話は、雇っている厩務員の方が担当しているので、空いた時間にどんな仕事があるのか気になる方も多いと思うのでご紹介していきます。
調教の指揮を取る
調教師の仕事のメインは馬主から預かった競走馬を一流に育て上げることだと思います。
そのためにも、どのタイミングでどのような調教を行うのかは非常に重要であり、その判断を下しています。
基本的には、一つの厩舎がトレセンで使用できる馬房は20程度ですなので、最低でも20頭の管理をする必要があります。
しかし、実際には牧場や外厩にも競走馬はいるので、もっと多くの数を管理しており、常に競走馬の事を考えていないと成り立ちません。
膨大な数の競走馬の調教の指揮を取るというだけで、非常に大変な仕事だということが分かりますね。
スタッフとの打ち合わせ
管理している競走馬の今後のビジョンや調教内容、出走するレースに関して厩務員や調教助手の方たちと綿密に打ち合わせを行います。
出走するレースへの登録は厩務員の方が行うことが多いですが、その指示などをしていきます。
競走馬の状態のチェックなどの報告を受けたりし、その状況を馬主や生産牧場などにも伝える必要があります。
上記でも解説したように、管理している競走馬は多いので、細かい打ち合わせが必要になります。
馬主への営業活動
調教師は、馬主から競走馬を預けてもらわないと仕事が成り立ちません。そのため、日常的に馬主に営業活動を行っています。
休日返上で牧場を訪れたり、セリに出向いて有力な馬に目星を付けて馬主に売り込んだりしています。
そのため、厩舎にずっといるのではなく、あちらこちらに足を運び移動することが多くなります。
取材対応
レース前などには、競走馬の状態や調教の具合についての取材が多く行われています。
サイト等を見ても、調教情報の欄に厩舎コメントなどが掲載されていることをよく目にしますよね?
また、有名な調教師にもなれば、テレビ番組の取材に応じることもあり、厩舎のアピールを行うためには重要な仕事の一つになります。
まとめ
今回の記事では、競走馬の調教が早朝に行われる理由について詳しくご紹介させていただきましたが、参考になりましたでしょうか?
朝早く調教が行われるには色々な理由がありますが、現状ではそれがベストだと言われており、競走馬にとっては良いこと尽くめなのです。
また、朝早いイメージが強いですが、午後にやらないという訳ではありません。その時の状況に合わせた調教を行っているのです。
さらに、調教師の仕事内容も合わせてご紹介させていただきましたが、やるべきことは非常に多く、休日もあってもないようなものです。
馬、競馬が大好きじゃないとなかなか続けることが難しい職業ではありますね。その分、馬好きにはたまらない仕事だとは思います。
大切な競走馬を預かるので、プレッシャーは非常に大きいと思いますが、レースで勝利した時の喜びも大きいはずです。